28歳無職弱者男性の日記

29歳になりました

介護業界のタブー

日本式介護は近い将来人権無視の扱いを受けると思う

現実にある話、脳出血、脳梗塞後変な形で生き残ってしまうと要介護5状態で生き延びることになる。

自力で手足が動かせないので、だんだんと固まって赤子のような姿勢で関節が固定される。

これが〝拘縮〟である。

日本中にごまんといる、このファイティングポーズ以外の姿勢を取れない老人のことを5chの介護・福祉板では〝ゾンビ〟と呼ぶ。

この呼称はいい部類である。

 

我が施設では「虫みたい」と形容される。

我が街一番の社会福祉法人系列の施設では「イモムシ」と呼んでいると派遣の渡り鳥から教えてもらった。

当然これは身体拘束・虐待廃止委員会的にはアウトな表現なので、絶対に表には出ない。日本社会において、表に出ないということは存在しないということだ。

 

拘縮がない利用者もいる。

彼らは常時全身脱力状態にあるが、唯一力を入れるのが身体介助を受けるときだ。

最後に残った力のすべてを込めて抵抗する。これが〝介護抵抗あり〟の状態。

 

いわゆる植物状態、自分で意思表示ができず、体も動かせない身体になると、人間にはどういう感情が残るのだろうか?

「たとえどんな状態であろうとも一秒でも長く生きていたほうが素晴らしい」というのが日本人の公式見解であり、実際に現場はその価値観で回っている。

 

身体がまったく動かせず、認知症の極限に達した人間に残された感情の発露は苦痛表情のみになる。

そう、彼らには喜びも楽しみも存在しないけれど、苦しいときにはちゃんと苦しい表情をする。痛いときには痛いという表情をする。

彼らは決して笑わない。笑いを司る脳の組織が物理的に破壊されているから。

 

はっきり言って、我々介護職の仕事はその苦痛をできるだけ長引かせることである。

厚生労働省によると、それが本人の〝ニーズ〟ということになっている。

法人からするとそれが収入源となる。

ケアマネジャーはそのためには何が必要か情報収集し教えてくれる。

そして何より、家族もそれを望んでいるのだ。

だから日本で死生観を語るのはタブーになっている

長生きは素晴らしい。

人に生まれた以上、21世紀に生まれた以上、先進国に生まれた以上科学の力を駆使しして寿命限界まで生き続けるのは当然の権利。

具体的にここまで思って生きているかは知らないが、現実に日本全国でこういうことが起こっているから2025年問題とかいう壁が存在しているのだし、膨れ上がる社会保障費が問題となっている。

 

誤解を恐れず言うが、俺はこの仕事が気に入っている。

施設にいる利用者の8割は常に「家に帰りたい」と言う。

俺もコロナに罹ったとき、療養施設に強制収監された10日間「ここから出せ」と暴れた身だから気持ちは痛いほどわかる。

自分の意思とは関係ないところで強制的に自宅から引き離され監禁されるというのは、非常に苦痛である。

しかし俺は絶対に利用者を家に帰さない。

当然一介護員にそんな権限はないが、家族もそれを望んでいないし、施設としても認められる行為ではない。問答無用で監禁、死ぬまでここにいろと言う立場。まるで強者になったようだ。

家族がそれを望んでいるのだから仕方ない。

 

毎日体力の限界まで「殺してくれ」と叫び続ける利用者がいる。

その人はもう目が見えない。

食事はすべて手づかみで貪っている。

我々介護員はそういった人に対しても笑顔で接する。今日も死ねませんでしたね? という気持ちで。

 

どれだけ死にたくても、全身麻痺で20年間天井を見続ける生活に絶望していても、空腹時に目の前に食事を持ってこられたら口を開けるのが人間だ。

嚥下状態の良い悪いは別として、口元にスプーンを持っていくとたいていの老人は口を開ける。開けない奴には無理やりこじ開けて食わせるのだが、必ず飲み込む。

安心してほしい、日本では飲み込めなくなったら点滴して強引に生かす。

それもダメなら胃に直接食物を流し込むから大丈夫。80歳で全身麻痺、親、子供、配偶者、友達の名前、顔、存在すべてを忘れてもそこから20年生かされるから大丈夫。それはきっと素晴らしいことだから。

すべてを失ってから10年以上生きるよ

介護施設に入ると、本人の意思はまったく関係なく10年以上確実に生きる。

管理栄養士の考案した完璧な食事を、3食きっちり胃に流し込まれるから当たり前だ。

少しでも体調を崩すと抗生剤入りの点滴で完全回復する。

費用は税金だからヘーキヘーキ。

寝たきりでも健康診断は年2回やる。

よっぽど悪いと入院になるけれど、薬漬けで絶対に生き延びられるから安心してほしい。

病衣送りになると24時間寝たきりにされて、仙骨部の皮膚が抉れて褥瘡になるけれど、褥瘡で死ぬことはないから大丈夫。施設に送り返されたらちゃんと褥瘡委員会が開かれて処置するから。法律で義務付けられてるからね、褥瘡委員会。

 

ここまで書いてきたことは、日本ではすべてタブーである。

植松! 植松! でシャットアウトされる。

だけど親にはちゃんと言ってるわ。

自分の手で自分の飯を食えなくなったらもう終わりだから人生に線を引いてくれ、と。

これができないとマジで20年生きるよ。

生きたいなら生きてくれ。

俺はその気持ちが微塵もわからんが、同僚にもどれだけ管に繋がれて、意識がなくても500年生きたいという奴がいるから人生わからん。

そいつも俺と同じこどおじ独身やぞ。