28歳無職弱者男性の日記

29歳になりました

歓迎会と誕生日

出勤二日目にして歓迎会を開いてくれるというので顔を出してきた。

俺の顔は別に出してもいいのだが、割りとピーキーなことを書いているので後で何かあってもと思い隠した。

仕事をするにあたって、誰かから歓迎されるなどということは初めての経験だった。

何かもう胸がいっぱいで、嬉しくてしょうがなかった。

今日は俺の誕生日でもある。29歳になった。

仕事をせずにこの歳までやってきたのに、これほど良い目に遭っていいのだろうか。

 

言うまでもないことだが、履歴書は盛って書いた。

アルバイトの年数を多くしたし、アフィリエイトの収入を得ていた時期も個人でライター業をやっていたと書いた。

だからみんな俺のことを一端の社会人として扱い、またそのようなアドバイスをされた。

 

「バカにならないとダメだよ」と言われた。

たとえ自分が知っていること、自分のほうが得意なことがあったとしても「あーそうですか! 知らなかったです。やって見せてください」と言ったほうがいいと。

何もかも抱え込むと潰れてしまう。

程よく業務を分散させ、誰からも好かれようとしないことが長続きの秘訣だと。

アドバイスをくれた人は、過去適応障害になり休職したことがあるらしかった。

はえーそうですか」と聞きながら、なぜこの人は俺なんかに親身になってくれるのだろうと思っていた。

 

今日派遣社員がひとり退職した。

出勤3日目だった。俺の1日先輩である。

「悪口で飲む酒は美味くないから」と言いつつも、必然的に派遣社員の話になった。

「これだから派遣は」という話になり、俺は内心冷や汗をかいていた。

元々俺はパートで仕事を探していたし、無理なら派遣で働こうと思っていたからだ。

なおかつ今まで3日以内に仕事を辞めたことなど何度もある。

第一この職場で働きだしてからまだ2日目である。

ほぼほぼバックレる形で辞めた派遣社員の気持ちが痛いほどよく分かる。

 

宴もたけなわとなった頃、「トイレの格言見た?」と言われた。

いいことが書いてあるから見ろという。

 

調べてみると米津等史という人の言葉らしい。

20代で汗を流してこなかった俺は、とりあえず40代で涙を流すことが確定している。

人生100年時代だと言うが、90、100歳までを想定したライフスタイルが格言化する時代になったのだ。

俺の母親もこういう格言が好きで、トイレにマザー・テレサの「思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから」の文言が全文貼ってあった。

いつの間にか剥がされていたのは、性格が終わってしまった息子の運命がもはや変えられないものとなってしまったからだろう。

 

俺はこれからどうしたらいいのだろう。

自分のことを幸福を受け入れて良い立場にない人間だと思っているから、身の丈に合わない歓迎にかえって不安になっている。

考えてみれば兄も妹も就職するときには歓迎会に、退職するときには送別会に出ていた気がする。

世間からしたら当たり前の通過儀礼なのかもしれないが、俺からしたら奇跡が起こったような心持ちだ。

とにかく人の金で飲む酒はうまい。

家に帰ったら、家族がケーキを用意してくれていた。

今夜はこの幸運を喜んでいいのだろうか。

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