人生初の韓国料理を食べた話。
無職から金を巻き上げるのをやめろ
先日飲みに行って、目の前で喧嘩を始めた元上司夫婦とまた飲みに行ってきた。
少なからず申し訳なく思ったのだろうと顔を出すことにしたのだが、間違いだった。
行き先は韓国料理屋。
これまで韓国料理に縁のなかった俺からすると、韓国の飯といえばキムチと、発酵食品、そしてキムチ、韓国のりのイメージだった。
全部嫌いである。
元上司の車に乗り込んで、第一声で牽制する。
「韓国料理って中華みたいなものですよね?」
当然違うと帰ってくる。
中国と韓国は違うのだから、出てくる飯が違うのは当たり前だ。
しかし俺は元々今日中華を食べるつもりだったのだ。
田舎にあるコンビニを居抜いて出店しがちの謎台湾料理店の謎中華を出前するつもりだったのである。
白身魚の甘酢あんかけとか、手羽先の煮込みとか、棒々鶏とかを食べるつもりだった。
せめてもの抵抗として質問したのだが、何を馬鹿なことを言っているんだという反応が帰ってきて、俺は諦めた。
仕方ないから韓国料理を食おう。
俺は彼女いない歴=年齢の人間だが、たとえ顔が大谷翔平で、体が大谷翔平でも結婚できなかったと思っている。
食の好き嫌いが多いのだ。
母親でさえ俺が何を食べられるのかを把握していない。
だから俺は自分の食べるものを自分で調達する。
韓国料理屋に着いて、まず上司の奥さんがサムギョプサルを注文した。
聞いたことはある。
韓国の飯である。
イメージでは何かウネウネしたものを酸味の効いた液体で和えて、そこに海藻とか雑草を混ぜ込んだものだ。
現実に出てきたのは、スパイスをまぶした豚バラ肉を水晶板で焼きサンチュに巻いて食べるという代物だった。
普段俺はタコスを作って食べている。
豚バラブロック肉をコーラ、オレンジジュース、スパイスで煮込んだあと、トルティーヤの皮で巻き野菜とソースを混ぜて食べるものだ。
風味が違うだけでいつも食べている味である。
つまり美味かった。
チャプチェという謎の料理も美味かった。
炒めた春雨らしきものに、きくらげや人参をきざんだものが入っている料理だ。
ちびまる子ちゃんの漫画で、まる子がお母さんに夕飯を尋ね似たものを言っていた場面がある。
俺は「ドブみたいなもん食ってんな」と思っていた。
28年間本当にそう思っていたのである。
すき焼きのしらたきは美味い。
春雨サラダもおいしい。
春雨スープも美味しく食べられる。
肉団子スープに入っている春雨もいける口だ。
甘辛く炒めた春雨がうまいとなぜ今まで気づかなかったのだろう。
「これ春雨ですよね?」と興奮気味に俺は尋ねた。
上司の奥さん曰く、チャプチェの麺は厳密には春雨とは違うらしい。
何しろうまいものばかりだったから、一人で馬鹿みたいに飲んだ。
元上司が1杯飲む間に俺は4杯飲んだから、「飲みすぎじゃね?」と言われた。
どうせ割り勘になると初めから分かっていたから、多く飲めば飲むほど特になるだろうという算段だった。
本日の会計は、代行代金含めて6500円。
うまいものを食べられたので悔いはない。